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北海道での生活をいつか再び!という想いを込めて・・・。

合計特殊出生率はなぜ特殊か?

なぜ特殊なのか、テレビも新聞もまるで報道しないことにずっと気持ち悪さを覚えていたのでネットで調べてみた。

まずは本家の厚生省。
「合計特殊出生率: 15歳~49歳までの女子の年齢別出生率を合計したもので、1人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子ども数に相当する」

こういう意味のわからん定義をされるとますます気持ち悪さが増してくる。ところが、多くのサイトで合計特殊出生率のことを話題にしながら、定義はこの厚生省のものをそのまま書いているのが解せない。なんで特殊なのかどうして疑問を持たんのだ!

次は現代用語の基礎知識。
「ある年の年齢別出生率が変わらないという仮定のもとで、一人の女性が生涯平均何人の子どもを産むかの推計」

そう。要するに女性が一生のあいだに何人子供を産むか、なのだ。でも相変わらず「特殊」への疑問がない。

議員さんの河野太郎さんはまだ偉い。
「女性が平均して一生の間に生む子どもの数を合計特殊出生率といいます。この合計「特殊」出生率の特殊なところは、なぜこれを特殊というのか誰も説明できないところです。厚生省に聞いたら、「まあ、それはあまりたいしたことではないです」

厚生省の役人が議員先生に質問されて「まあ、それはあまりたいしたことではないです」などとふざけたいい加減な答えをするはずがない。先生は役人の説明を理解することができなかったのだろう。で、ようやく少しは意味をわからせてくれたのは青学の先生だった。http://www.cc.aoyama.ac.jp/user/zkki/kyotsu/jinko.html

皆さんは、「合計特殊出生率」という用語を聞いたことがありませんか? この言葉、ちょっと硬い響きがするのですが、最近、新聞・雑誌等のメディアに頻繁に登場する時代のキーワードのひとつであり、なおかつ、人口論を語るうえで決して無視できない用語なのです。そこで今回は、この言葉を引き合いに出しながら人口論の一端を紹介していくことにします。

まずは、「合計特殊出生率」とは何かという議論から始める必要があります。新聞などでは、通常、この言葉を「1人の女性が生涯に産む子供の数の平均値」と解説しています。この表現は大変わかりやすいし、確かに間違ってはいないのですが、多少誤解を招くおそれがあります。すでに子供を産み終えた女性が対象であると考えたくなるところですが、実は、出産行動を現在とりつつある若い女性が対象なのです。こう理解すると、次なる疑問が生じてくるのではないかと思います。それは、「1人の女性が生涯に産む子供の数は、すでに子供を産み終えた女性については簡単に把握できるが、今子供を産みつつある若い女性については20年くらい待たないとわからないのではないか」という疑問です。ところが、20年も待たなくても今すぐにその値を正確に知る方法があるのです。その計算方法のカラクリについては紙面の都合で割愛いたしますが(この方法を知りたい方はぜひ聴講してください)、そうした方法の開発も人口論の成果のひとつといえるのです。

次に、なぜ、「1人の女性が生涯に産む子供の数」を合計特殊出生率なんて呼ぶのかについてお話ししましょう。この言葉は、“Total Fertility Rate”(略称 TFR)の訳語なのですが、この英文には「特殊」に相当する単語が見あたりません。どうして、翻訳するときにわざわざ「特殊」などという用語を入れたのでしょうか? 実は、「特殊」ではない「普通」の出生率がほかにあるからなのです。この出生率は、人口1,000人当たりの出生数によって定義され、「普通出生率」または「粗出生率」と呼ばれています。ちなみに、この値の英語名“Crude Birth Rate”には、日本語の「粗」に相当する単語“crude”がちゃんと含まれています。それでは、“Total Fertility Rate”の“total”とは何を意味するのでしょうか? 答えは、この値がいくつかの“fertility rate”を合計したものに他ならないからです。つまり、この値自身の計算方法と大いに関わりがあるというわけです。

一方、容易に想像できるかと思いますが、TFRは一国の将来人口を推計する際に用いられる、もっとも基本的な指標であります。それでは、この値はどれくらいが適当かといいますと、日本の場合は約2.08とされています。日本では、TFR=2.08ならば、人口が将来にわたって増えもしないし減りもしない、つまり一定だということです(人口が一定なのが適当かという議論はまた別の問題です)。なぜ2.08なのかといいますと、子供は当然2人の親から生まれますから、人口を維持するためには、まず、1人の女性が2人の子供を産む必要があります。しかし、それらの子供の中には、不幸にして親の年齢に達するまでに亡くなってしまう場合もあるので、その分だけ余計に産んでおく必要があるわけです。それが、TFR換算で約0.08人ということになるのです。

う?む。難しそうだけど是非聴講してみたいものだ。しかし、こんなことなら厚生省は、例えば「女性一人当たり生涯出産数」といったもう少しわかりやすい用語で一般向けに説明すればいいのに、と思うのは私だけではないだろう。たぶんだけど。
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コメント
10年以上前の記事にコメントします。

自分も合計特殊出生率の「特殊」の意味が分からず、ググってこのページにたどり着きました。
お陰で長年の疑問が氷解しました。
2014/04/08(火) 13:34 | URL | Horse with #-[ 編集]
gQTfSphHeUd
2014/06/19(木) 07:52 | URL | exgjehzau #QFzinNHw[ 編集]
No title
4月の投稿に今ごろ気付いてすいません。
出生率は最近も話題になりましたが、やはり特殊の意味を解説する新聞は見かけませんでした。しかしググって見つけるというのもすごいですね。逆に言うと、一度投稿したものはいつまでもネット上を彷徨うということで、人の悪口とかは書くものではないですね。河野先生すいません。でも今月の「文芸春秋」に書かれた年金の記事は大変参考になりました。
2014/06/23(月) 19:09 | URL | 管理者 #-[ 編集]
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